テレワーク率 100%の会社の人事評価制度とは?(後編)

前回の記事では、テレワーク就業率100%のイマクリエで行っている簡易評価+クイックフィードバックについてご紹介しました。
今回は、当社が評価実施の頻度とスピードに重きを置き、クイックフィードバックを行っている理由とその効果についてご紹介します。

コミュニケーション不足の解消

テレワークでは、上司と部下の間で面と向かってコミュニケーションを取る時間が減りがちです。その結果、上司が部下の働きぶりや業務の進捗状況を把握できず、業務や成果に支障が出てサービスのクオリティが低下したり、生産性が下がって会社全体の業績が悪くなるといった問題が発生することもあります。また、コミュニケーションが少ないが故に、メンバーが孤独感を感じたり孤立してしまう状況も生まれやすくなり、会社に対する帰属意識の低下やモチベーションダウンにつながったり、最悪の場合はメンバーが離職してしまうことも考えられます。

テレワーク下でのコミュニケーション不足を解消するために、オンラインでチームの朝礼や定例MTGを行ったり、定期的に1 on 1 MTGを実施している管理職の方も多いでしょう。当社はこのようなオンラインMTGに加えて、人事評価のフィードバックも上司と部下の大切なコミュニケーションの機会であると考え、評価とフィードバックの頻度を多くすることで、コミュニケーションの機会を強制的に持たせる仕組みを作っています。

 

クイックフィードバックが必要な理由

1.ジェネレーションZへの対応

イマクリエで働いているメンバーはこれまで30代~40代が中心でしたが、ここ最近では、「ジェネレーションZ」と呼ばれる1990年代中盤から2000年代終盤までに生まれた世代の入社が増えてきました。
ジェネレーションZは、生まれた頃から携帯電話やパソコンなどのデジタルツールに囲まれて育ったため、テレワークでの働き方に慣れるのもとても早くスムーズです。
とても若いうちからSNSを利用している人が多いのもこの世代の特徴で、「SNSネイティブ世代」とも言われ、常に友人たちとつながっていることを当たり前に感じています。SNSでは自分の行動(写真や文章の投稿)に対して、コメントや「いいね」などの反応が即座に返ってくるため、そのスピードに慣れている彼らにとって、人事評価やフィードバックが1年に一度ではまったく遅すぎて、もはや意味のないものになってしまいます。

 

2.行動分析学の60秒ルール

1930年代にアメリカ人心理学者スキナーにより確立された心理学のひとつ「行動分析学」では、人間の行動はその「直後」の結果によって「強化」されるのか、「弱化」されるのか、あるいは「消去」されるのかが決まると考えられています。

◎強化: ある行動をした直後に良いことがあると、その行動をもっとしたくなる
(例)会議で積極的に発言をしたら褒められたので、発言の回数が増えた

◎消去: ある行動をした直後に何も変わらないと、その行動を徐々にしなくなる
(例)ノルマを達成しても、褒められず当たり前のこととされると、ノルマ達成へのモチベーションが下がっていく

◎弱化: ある行動をした直後に嫌なことがあると、その行動をしなくなる
(例)定時で仕事を終えて帰ったら、上司から嫌味を言われたので、次の日からは無理をしてでも残業をするようにした

ここで言う「直後」とは60秒を目安としていて、時間が空きすぎると、自分の行動に対する反応であると関連づける力が弱まると言われています。
テレワーク下では60秒以内に反応するというのは残念ながらほぼ不可能ですが、1秒でも早くフィードバックをするほうが良いという本質は変わりません。

 

終わりに

全3回にわたり、テレワーク就業率 100%のイマクリエの評価制度についてご説明してきました。テレワークを導入して10年を迎えた当社も、テレワーク下での人事評価についてはこれまで試行錯誤と制度改定を繰り返してきました。
今後も、これまでに累計10,000人以上のテレワーカーをマネジメントしてきた実績から得たノウハウを公開することで、社会全体でのテレワーク推進に貢献してまいります。

 

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